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進歩性 無理な用語解釈を前提として進歩性が否定されていないかを確認する。

進歩性 無理な用語解釈を前提として進歩性が否定されていないかを確認する。

 

判例No.17-2 平成28年(行ケ)第10040号 審決取消請求事件

 

※以下は、この判決についての独自の見解です。

※以下において、『』内は、上記の判決文からの引用です。

 

1.判決の概要

 本件発明の進歩性を否定した審決の取り消し理由として、サービスという用語の解釈に無理があることを挙げている。

 

2.審決での用語解釈

 本件発明と引用発明との一致点が、本件発明と引用発明とは、所定の場合に、所定のサービスの実行を許可している点で一致しているとしている。

 これに関して、サービスを次のように解釈している。

 「サービス」とは,「サービス要求と,それに対し,何らかの利便を提供する行為の総称」である。

 

3.判示事項

『被告は,前記の「サービス」とは,「サービス要求と,それに対し,何らかの利便を提供する行為の総称」であると主張する。前記の定義は,その文言上,①第1の主体が,第2の主体に対し,何らかのサービスを要求する行為,②第2の主体が,第1 の主体からの何らかのサービスの要求に対し,第1の主体又は第3の主体に対し,何らかの利便を提供する行為という,2 種類の行為を含んでいる。

 「サービス」は,「①奉仕,②給仕。接待。③商売で値引きしたり,客の便宜を図ったりすること。④物質的生産過程以外で機能する労働。用益。用務。⑤(競技用語)サーブに同じ。」(広辞苑第6版)と解されているのであって,前記の行為のうち,「第2の主体が,」「第1の主体又は第3の主体に対し,何らかの利便を提供する行為」は,「サービス」と表現され得るが,「第1の主体が,第2の主体に対し,何らかのサービスを要求する行為」は,「サービス」と表現され得るとは考えられず,「サービス」を,前記の2種類の行為を一個の概念に包括する総称と定義することには,無理がある。』

 

 このような無理な用語解釈を理由の1つとして、審決が取り消されている。

 

4.実務上の指針

 権利化しようとする対象発明の進歩性が、次の(1)のように否定されている場合、次の(2)の反論をする。

 

(1)対象発明の進歩性を否定する論理が、無理な用語解釈を前提としている。

 

(2)用語解釈に無理があることを、辞書(広辞苑)の定義に基づいて反論する。

 

 弁理士 野村俊博