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進歩性 主引用例への副引用例の適用の容易想到性

進歩性 主引用例への副引用例の適用の容易想到性

判例No. 23平成23年(行ケ)第10396号 審決取消請求事件

以下は独自の見解です。

 

1.実務上の指針

 下記(1)の場合、下記(2)(3)に該当すれば、下記(1)の適用は容易でない。

(1)本件発明の構成Xが主引用例との相違点であり、副引用例に記載された同じ構成Xを主引用例に適用すれば、本件発明に想到する。

 

(2)本件発明において構成Xで得られる技術的意義Aは、副引用例において構成Xで得られる技術的意義Bと大きく異なる。

(3)主引用例において技術的意義A、Bのいずれを得るべきかが、主引用例から不明である。

 

2.上記判例の独自見解

2.1 上記判例における前提事項

 本件発明は、特許第5220259号の請求項1に係る発明である。

 本件発明は、構成X(特許第5220259号における請求項1の下記抜粋の下線部)を備える。

 主引用例(引用文献1)には、構成Xが記載されていない。

 構成Xは、副引用例(引用文献2、3)に記載されている。

 

 特許第5220259号の請求項1は次の通りです。この請求項1の下線部は、ここでの説明のために付したものです。

 

「【請求項1】

複数の周方向に間隔を置いて配置されたバケット(18)を支持する、それに沿って軸方向に間隔を置いた位置にホイール(16)を有し、かつ軸線の周りで回転可能なロータ(14)と、

周方向に間隔を置いて配置された翼形部(26)と該翼形部の対向する端部に配置された内側及び外側バンド(28、29)とを有する、軸方向に間隔を置いて配置された周方向のノズル(24)列と、を含み、

前記軸方向に間隔を置いて配置されたバケットと前記ノズル列とが、少なくとも1対の軸方向に間隔を置いて配置されたタービン段を形成し、

前記バケットが、該バケットを前記ロータホイールに固定するためのダブテール(20)と該バケットの半径方向内端部に沿ったプラットフォーム(40)とを有し、前記プラットフォームと前記翼形部と前記内側及び外側バンドと前記バケットとが、タービンを通る流体流れ用の流路(10)の一部を形成し、

前記ホイールの1つの上にある前記バケットダブテールが、前記プラットフォームから半径方向内側の位置に沿った前記ノズル列の1つに向かってほぼ軸方向に延びる突出部(42、44)を支持し、また前記1つのノズル列のノズルが、ラビリンス歯(46、50)を支持し、前記ラビリンス歯が、前記突出部と共に前記1つのホイールと前記1つのノズル列との間にあるホイールスペース内に流入する、前記流路からの漏洩流を減少させるためのシールを形成しており、前記プラットフォーム(40)の前縁(70)は、上流方向において半径方向内向きにフレア状にされて、上流側のノズル(24)の内側バンド(28)の後縁の半径方向内側に位置する

ことを特徴とするタービン。」

 

2.2 争点

 主引用例に副引用例の構成Xを適用することは容易か。

 

2.3 判示事項の独自見解

 主引用例に副引用例Xを適用することは容易ではない。

 理由は次の通りです。

 構成Xは、技術的意義A(タービン主流の漏れを抑制)と技術的意義B(タービン主流への漏れを抑制)のいずれかを得るためのものである。

 技術的意義Aは、技術的意義Bと大きく異なる。

 本件発明の構成Xは、技術的意義Aを得るためのものであるのに対し、副引用例の構成Xは、技術的意義Bを得るためのものである。

 また、主引用例では、どちらの技術的意義を発揮させるべきか不明である。

 したがって、主引用例に副引用例の構成Xを適用して技術的意義Aを有する本件発明に想到することは、容易でない。

 

弁理士 野村俊博