進歩性(引用発明の認定):主引用例において、ある装置が他の構成要素と協同しなければ所期の効果が得られない場合、当該装置は、本件発明と対比させるべきものとは認められない。

判例No.59 令和2年(行ケ)第10102号 審決取消請求事件

 

 以下は、上記判例に関する独自の見解です。

 

進歩性(引用発明の認定):主引用例において、ある装置(本件では「読取り/書込みモジュール200」)が他の構成要素(本件では「防壁」)と協同しなければ所期の効果が得られない場合、当該装置は、本件発明と対比させるべきものとは認められない。

 

(判決のポイント)

 主引用例(米国特許第9245162号明細書)において、読取り/書込みモジュール200は、対象物に保持されたRFIDタグからデータを読み取り可能である。読取り/書込みモジュール200は、これを囲む防壁と共に用いられる。

 すなわち、主引用例では、読取り/書込みモジュール200の金属製側壁204~210と上記防壁の金属製外側パネルとで電波を反射させつつ、当該側壁と当該パネルとの間に存在する電波波吸収性発泡体で電波を吸収する。これにより、電波の漏えいや干渉を防止するという所期の効果を発揮される。

 したがって、読取り/書込みモジュール200は、単体で、当該効果を発揮する装置であるとは認められない。

 

弁理士 野村俊博